日常を演出せずに撮るには

日常を演出せずに撮るために必要なのは、ひとつの決心だけです。動画を作るのをやめて、メモを残すことにするのです。メモは散らかっていても、短くても、少し退屈でもかまいません。だからこそ残しておく価値があります。
演出した映像が色あせやすい理由
場面を整えてから撮ると、他の人に見せたい一日のほうを撮ることになります。何年かたつと、そのバージョンは薄っぺらく感じられます。振り返ったときに、ポーズをとった笑顔を探す人はほとんどいません。探すのは、ありのままの台所や、何でもない話をしている誰かの声です。
ありふれたものほど、先に消えていきます。通学路、いつもシンクのそばにあったマグカップ、いつも誰かが座っていた椅子。ずっとそこにあるように思えるので、誰も記録しません。そして、ある年にはもうなくなっています。
人ではなく、場所から始めましょう
カメラの前に出るのが苦手な方や、人にカメラを向けるのが苦手な方は、場所や物から始めてください。一日が始まるカウンターを撮ります。みんなが靴を探している朝7時40分の廊下を撮ります。顔がひとつも映っていない動画にも、ひとつの朝がまるごと入ります。
スマホを数秒間しっかり構えたら、すでに起きていることをそのまま続けさせましょう。何かを演出するわけではありません。カメラを持って、ただそこにいるだけです。
決まった時間帯をひとつ選ぶのも役に立ちます。朝のコーヒー、帰り道、寝る前の最後の十分間。ひとつ選んで、何度もそこに戻ります。場面が繰り返されるので、週ごとの小さな違いが見えてきます。その違いこそが、ありふれた動画を長く並べたときの面白さになります。
出来事の途中から撮りましょう
演出は、たいてい誰かが「じゃあ、いい?」と言った瞬間に始まります。その一言は飛ばしましょう。夕食を作っている最中、荷物を詰めている最中、もともと続いていた会話の最中など、すでに進んでいるところから録画を始めます。
いくつかの習慣を身につけると楽になります。
- 部屋に入ってから「撮るよ」と告げるのではなく、入る前に録画を始めます。
- スマホを誰かの顔の前に掲げず、低い位置か体の横で持ちます。
- 最初のぎこちない数秒はそのまま待ちます。本当の瞬間は、そのすぐあとに来ることが多いです。
動画はどれも短くしましょう
短い動画は演出を防いでくれます。十秒や十五秒では、誰かを並べ直している時間がありません。そこにあるものを捉えて、止めるだけです。短い動画は疲れた夜にも始めやすく、これは思っている以上に大切なことです。
Glisk では、1本の動画は最長30秒まで撮れますが、たいていの日はもっと短くて十分です。続けやすい習慣の形をまだ探しているなら、ビデオ日記のつけ方を解説したガイドで、手順を順を追って紹介しています。
ポーズなしで撮れる動画のアイデア
スマホを見つめても、撮る価値のあるものが思いつかないときは、次の中から選んでみてください。
- 朝いちばんの音。やかんや、シリアルのボウル、別の部屋のラジオなど。
- いつもの道。窓から、または横断歩道で待っている間に撮ります。
- 食事中のテーブル。自分の席から撮ります。
- ちょっとした用事の外出。カメラは自分ではなく、通りに向けます。
- 最後の明かりを消す瞬間。
カメラに気づかれたとき
手を振ったり、ポーズをとったり、何をしているのか聞いてきたりする人もいます。それに逆らわないでください。今日のメモを残しているだけだと伝えて、あと数秒そのまま撮り続けます。たいていの人は、1分もたたないうちにスマホのことを忘れます。
本当に効いてくるのは、繰り返しです。毎日撮っていると、カメラは家具の一部のようになり、人はカメラのために振る舞うのをやめます。子どもも同じで、毎日現れて何も言わせようとしないスマホは、たいてい気にしなくなります。
撮られたくない人がいたら、その人は外してください。何も損はしませんし、みんなにとって気持ちのよい習慣のままでいられます。映像がどこに保存されるかを知っておくことも大切です。Glisk はすべてを端末の中に保存し、アカウントもクラウドも使いません。散らかったリビングを撮っても、誰に見られるかを心配する必要はありません。
編集も正直に
あとで動画をつなぐときは、きれいに整えたくなる気持ちをこらえましょう。トーストが焦げる動画は残しておきます。ちょうどいい角度が見つかる前に、うっかり2秒間床を撮ってしまった動画も残しておきます。
Glisk では、どの動画もカレンダーのその日に収まるので、何があるのかが一目でわかります。そこから、1か月分、1年分、または自分で選んだ日の動画を1本の映画にまとめられます。やり方は1か月分の動画を1本の映画にする方法で説明しています。
日常をテーマにした映画では、動画の元の音を残すことを考えてみてください。背景の雑音は、あとでいちばん恋しくなる部分であることが多いからです。食器の鳴る音、半分しか聞こえない話し声、隣の部屋のテレビなどです。音楽がお好みなら、それもよく合います。スマホにある音声ファイルなら、曲のほんの一部でも選べます。
どの動画にも使える簡単なテスト
地味に見えるからといって動画を消す前に、ひとつだけ自分に聞いてみてください。この動画から、あの日を思い出せるだろうか、と。答えがはいなら、残しましょう。きれいな光も、よい構図もいりません。大切なのは、本当のことが映っていることです。
日常を撮った映像のうち最高のものは、撮った日にはどこか平凡に感じられることが多いです。その感覚は、よい兆しです。1年後に見返せば、同じ映像が、演出したどんな場面よりも多くを語ってくれます。習慣づくりについては、ビデオ日記のつけ方のガイドもご覧ください。